マンゴー苗の導入 |
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苗の確保 |
マンゴー苗を手に入れるには、種から育てる、苗を購入するの二通りがあります。
種から育てた場合、通常花が咲き、実になるまで最低6年〜8年かかるといわれています。育種や完全主義者意外にはお勧めできません。
無難なのは、苗を購入することです。
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マンゴー苗の種類
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マンゴー苗は、大きく分けると3つに分類されます。
1.接木苗
2.とり木苗
3.実生苗
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1. 接木苗 |
現在、当園でメインに栽培されている「アーウィン」などのアップルマンゴーと呼ばれる、実の果皮が赤くなる赤実系統は、接木により苗を作ります。
前の年に開花、結実した木から穂を取り、台木に接ぐことにより苗を作ります。接木し出来上がった苗は、その年の冬には開花するので実を作ることは可能ですが、開花した花を取り除くことにより枝数を増やし、翌年に本格デビューさせるために苗の生育優先にした方が良いでしょう。
接木苗は、穂を取った親木と全く同じ性質を遺伝します。
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2. とり木苗 |
「キンコー」、「カラバオ」などといった、実に果皮が黄色である、黄実系統はとり木によって苗を作ります。もちろん接木もできるのですが、接木は技術的にも難しいので、取り木ができる品種はとり木繁殖が一般的です。
とり木の場合も、開花結実した経験のある木から取り木することにより、取り木の翌年から実の収穫は可能です。収穫初年度より収量を多く確保する場合には、取り木一年目の収穫は見送ります。
とり木もやはり、取り木した親の木と全く同じ性質を継ぐことになります。
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3. 実生苗 |
種から育てた苗です。この苗には手を出さない方が無難でしょう。
マンゴーには、種を植えると一本しか芽が出てこない、単胚と、複数本の芽を出す、多胚という種類があります。
黄色実系統には多胚種が多く、これらは実をつけた親の木と同じ性質を受け継ぎます。ところが、赤実系統の場合は、種は単胚が多く、これらは交雑により、数年後実をつけたとしても、親の木とは性質の異なる実が成り、一般に親の木よりも悪い苗が育つといわれています。約1000分の1程度の割合で、親の木を超えるすばらしい実をつける苗ができるそうです。実生苗は、育種で新しい品種を作りたいときなどに使われますが、一般的ではありません。
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マンゴー苗の選び方 |
自分でマンゴー栽培をしていて育てやすい、あるいは良い苗だと思うのは、1.接ぎ位置が低い 2.穂木の性質が良い 3. 台木と穂木の太さがそろっている 等です。
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1. 接ぎ位置 |
左の写真で、3本の苗はいずれも昨年接木した2年生苗で、右の2本は、私が接いだもの、左の一本は沖縄から購入した苗です。
左の苗は、通称「沖縄接ぎ」とも呼ばれる、接ぎ位置が非常に高い苗で、台木の地際から接ぎ位置までの高さは30センチほどもあります。マンゴー苗の生産が盛んな沖縄では接木の成功率を上げるために高接ぎが一般的です。
当園のように鉢植え栽培をしているところだけではなく、一般のマンゴー栽培においても、限られた空間内で栽培をするためには、接ぎ位置が低いほど管理がしやすく、必須条件となります。成功率が低くても、地際から10〜15センチで接いである苗が管理しやすい苗といえるでしょう。
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赤いしるしは接ぎ位置です |
2. 穂木の性質 |
接木した苗は、穂木を採った親苗の性質を受け継ぎます。ですから、穂を採る親苗が多産で品質の良い実をつける木ほど良いわけです。良い親木から穂を採ってるかを見極めることは難しいので、信用のできるところから苗は購入しましょう。
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3. 台木と穂木の太さ |
左の写真は、一昨年私が接木した3年生の苗です。赤い矢印位置が接木の位置です。台木と穂木の太さが同じくらいのもの同志で接木すると、接木からわずか2年ほどで接木位置がすっかり埋まり、あと2年ほどすると接いだ位置がほとんど分からないほどになります。
極端に台木と穂木の太さが違うものが見受けられるのですが、後々の苗の生長にとっては、やはり太さがそろっているものほど後の成長が良いように思われます。また、いくら台木と穂木の太さがそろっていても、あまりにも両方が細いものもいただけません。
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苗の購入 |
以上のポイントで苗を導入します。購入の目安としては、アップルマンゴー「アーウィン」2年生、3年生で5000円からです。まともな穂木を使っているのなら、2年生でも数個の収穫が見込めますが通常は、4年生から生産苗として使用します。害虫などに注意して購入しましょう。
当園でも生産樹の選定時などのバックアップ用に数十本の予備苗を保有しています。接ぎ木苗をお探しのときは、お問い合わせください。
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第一話 マンゴー栽培の必要条件
第三話 マンゴー苗の植え付け
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