ここ数年でマンゴーは熱帯果樹の中でもメジャーな存在になりました。
十年程前には、海外旅行で食べたことがある人くらいしか知らなかったマンゴー。
30年ほど前に初めて海外で出会ったマンゴー独特の風味と絶妙な甘みと酸味のバランス。
果物の中でも特にはまったマンゴー。時を経て自分で栽培することになりました。
私なりのマンゴーについてうんちくを少々お話しましょう。
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マンゴーの花 |
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鉢植えマンゴーの味の秘密 |
国産のマンゴーの中でも特に風味が良いといわれる鉢植えのマンゴー。
今回、この指宿地区のマンゴー研修会で果実を持ち寄り、試食会と検討会が開かれ、
地植えマンゴーとの味の比較が行われました。
詳しくは、こちらで。
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熱帯果樹の王様 |
くだものの王様といえば、熱帯果樹の「ドリアン」。マンゴーはドリアンに対し「果物の女王」、
熱帯果樹の王様とも称されます。
ドリアンが、チーズケーキのような濃厚な甘みを持っているのに対し、マンゴーは、糖度は
15度から18度程度と高いのに、上品な味わいとなってるのは、適度な酸味があるためだと思います。
熱帯果樹といえば、ただ甘いだけというものもありますが、マンゴーは女王と称されるだけの
上品な味わいが魅力であると思います。
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マンゴーの栄養素 |
マンゴーは良質のビタミンAを含んでいます。果肉の濃いオレンジは、ベータカロチンの色です。
含まれているベータカロチンの量では、含有量の多いビワの2倍、柿の15倍といわれています。
ビタミンAと相性の良いビタミンCを含むだけでなく、ミネラル分も多く含まれています。糖度が高い割に
カロリーは抑え目。「女王」の気品と、栄養バランスの良い果物だと思います。
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マンゴーはウルシ科です |
東南アジア原産のマンゴー。ウルシ科の常緑潅木です。
知らずに食べていて、口の周りが痒くなり医者に行く人もいます。マンゴーの産地では、
皮膚科に行くと「マンゴー食べませんでしたか?」と聞かれて、初めて自分がマンゴーに
かぶれたことを知る人も多いそうです。医者のほうもさほど驚かずマンゴーのかぶれだと
すぐにわかるようですよ。
外国産の輸入マンゴーに比べるとかぶれる人は少ないようですが、数十人に一人くらいの
割合ですが、かぶれる不幸な人もいるそうです。
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マンゴーの品種 |
国内で栽培されているマンゴーといえば、「アップルマンゴー」と呼ばれている
「アーウィン」という品種です。「アップルマンゴー」はりんごとマンゴーを掛け合せた
品種だと思っている人もいるのですが、完熟すると果皮がりんごのように真っ赤になるので
こう呼ばれているのです。
スーパーなどで安く売られているのは、フィリピン産の「ペリカンマンゴー」こと「カラバオ」。
果皮が緑で、重量が一キロにもなる大玉の「キーツ」、その他、輸入物でやはり
「アップルマンゴー」として売られる「ケント」とい品種などもあります。
その他にも、原産国のタイなどにはサラダなどで使うすっぱいマンゴーや台湾なのでは
街路樹マンゴーが使われていて、シーズンになるとたくさんの実をつけています。
「アーウィン」は、フロリダで育種選抜されたと言われていますが、繊維が少なく、
多汁で香りが甘美であったのが日本でも人気になった理由のようで、当園で栽培しているのも
「アーウィン」です。実験的に、キーツやカラバオ、キンコーや新種の「玉文」と言う品種も育てています。
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マンゴーの育種 |
植物の種には、胚が複数ある多胚とひとつの単胚があるそうです。胚がたくさんあると、
ひとつの種から複数の芽が出てきす。
マンゴーもこの単胚と多胚の品種があります。マンゴーの多胚の品種は、その種が取れた実と
同じ性質を持った植物に育ちますが、単胚の品種では、出てきた芽は育っても、元の品種とは違った
品種に育ってしまいます。そして通常は元の品種より性質の劣るものが育つのです。
アーウィンは単胚種。食べた後、種を植えると芽が一本だけ出てきます。通常は、食べた実より
まずいものや実が小さい、繊維が多いなど短所の多いマンゴーの木に育ちます。
ところが、1000本に1本の割合で、元の木を超える木が生まれるそうです。アーウィンもそのように
何代にもわたり性質の良い品種を選抜して生まれた品種なのです。当園では、苗は前年に植えた
種から育てた苗を台木に、現在実を成らせる木から穂を採り、接木によって増やしています。
接木で生まれる苗は、親(穂木)と同じ性質の苗になるからです。
考え方によっては宝くじより高い確率で今食べている「アーウィン」を超える、すばらしい品種を生み
出せる可能性があるわけです。種から育てると実ができるまでに6,7年かかるそうです。気の長い人は、
育ててみてはいかがでしょうか?たった一つ植えた苗が、黄金の苗になるかもしれませんよ。
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